2021年8月に沖縄から遠く離れた小笠原諸島の海底火山が噴火しました。
海底火山の噴火というと、島ができていく過程を教科書のようにわかりやすくみせてくれた西ノ島のイメージくらいしかありませんでしたがこんな形で海底火山の噴火を身近に感じることになるとは思いもしませんでした。
小笠原諸島から宮古島まで約1600キロ。この距離を3か月かけて軽石たちはやってきました。
先に沖縄本島に漂着し、いろいろな報道がされたあとなので海の様子が変わっても「軽石、宮古島にもついたんだあ」くらいに受け止めることができましたが、ニュースなどの事前情報なしでこんな光景を見たらどれほど驚いたことでしょう。それくらい普段の海とは違ってしまったのです。
ふわふわ漂う軽石は「なんか浮いてる~、ひもみたいに長―くつながって浮いてる~」と見た目は「これなあに?」くらいにライトな感覚でみえます。
広い海でちょっと浮いてる石、実はこの軽石が離島の生活に重大な影響を与えているのです。
港はだいたい入り江を利用して作られているので軽石がたまりやすく、またとどまってしまう構造があります。港を覆う一面の軽石をみると大変さがわかりますが「(軽石を)避けたら船の運航には問題ないんじゃない?」とシンプルな意見がでたりします。
軽石が船に与えるダメージ
どうして軽石があると船をだせないの?の答えは船の構造にあります。
船をよく見ていると水をぶわーっとはきだしていることがあります。あれは船のエンジンを冷ますために取り込んだ海水をはきだしているのです。
PCでいう水冷と同じイメージで、直接海水で冷やすわけではないのですが、海水を船に取り込むときに軽石が入ってしまうといろんなとこが詰まってしまい船の故障につながるので軽石がある水域ではよっぽどのことがない限り船をださないのです。
離島で船がでないということは死活問題です。漁師さんは商売あがったりですし、物流が止まってしまいます。
「船がでない」ということは台風時と同じ状況になってしまうということなのです。
軽石は土に混ぜると根腐れ防止や水はけが良くなるので、園芸用として利用されているので、
沖縄のマンゴー畑やコーヒー栽培の土壌改善に使われるのが期待されていますが、
この軽石は現状海水を含んでいるため園芸用には不向きです。
塩水の中漂ってきたのですから塩分過多の子たちです。
畑に塩まくと植物育たなくなる上に土をダメにすることもあるので取り扱いには要注意です。園芸用で生産販売されている軽石は人工的に作られたものなので塩分は含まれていません。
今後の改良に期待です。
皆既月食も、日食も、流星群も準備してお迎えできる自然現象になった現在。宮古島の真っ白な砂浜が灰色に覆われる非日常な光景も「とうとうきたか」と心づもりできます。
でももし、知らなくて突然こんな現象が起きたら?
今以上に自然の不思議さを感じるのかな?良くない影響は歓迎できませんが、適度に自然におろおろさせられるという状況も宮古島の特権です。