宮古島秋の味覚「ふきゃぎ」

今年の中秋の名月は9/21。最近は「ピンクムーン」とか「スーパームーン」といったバリエーション豊かな満月が楽しめますがやっぱり「中秋の名月」は格別な感じがします。

カママ嶺公園からみた十五夜
カママ嶺公園からみた十五夜

宮古島ではいまでもいろんな行事が旧暦で行われていますが旧暦の8/15も「十五夜」と呼ばれる行事が行われています。

地区によっては綱引きしたり祭りを行っている地区もありましたが年々少なくなり、去年からはコロナの影響もあり取りやめになった行事もあります。

昔はどうだったのかおばあに聞くと「神社でお祭りをした」「月明かりで深夜でも暗くなかったので遅くまで遊んでいた」とのこと。さすがに「豆を盗んで売って平良にいって買い物した」という昔話にはちょっと笑ってしまいました。
中秋の名月というと風情と食欲がみごとにマッチングしたイベントで、「お月見」=「月見団子」というイメージがあります。

宮古島の中秋の名月では月見団子ではなく「ふきゃぎ」というおもちをお供えしてみんなで食べます。
「ふきゃぎ」とは

ふきゃぎ
ふきゃぎ

おもちのまわりにゆで豆をまぶしたものです。もち粉を形成して蒸したあとにまわりにゆで豆をまぶすのですが、作り手によっては豆をぎっしりくっつけたりまばらにくっつけたりしますし、豆もあずきを使ったり宮古島で育つ黒小豆を使ったりその家の作り方やおばあやおかあのオリジナルアレンジが光る食べ物になっていたりします。

茹でたあずきをつぶしてつぶあんやこしあんにしておもちにつければおはぎやぼたもちになると考えるとまるでおはぎの原型のような姿をした「ふきゃぎ」です。

けれど豆をつぶさず茹でた形のまままぶすのは見た目なかなかワイルドなので初めてみる方は「えっ?!何これ?」となるかもしれないですね。

おはぎという表現をしましたが味は塩ゆでした豆の味をしっかり楽しめます。

実は子供のころ小豆風な豆は甘いものだと思っていて甘いものを食べる口で食べてみると甘くない・・・。

アレンジされてないふきゃぎは塩ゆでした豆の味しかしなかったので(そういう食べ物なのですが)ショックを受けたことを覚えています。

食べない私におばあは豆を取り除き砂糖をつけて食べさせてくれました。

もはや「ふきゃぎ」ではなかった気がしますがそんな優しさで宮古島のおばあはいろいろなものをアレンジしていくアグレッシブなおばあへと進化しているのかもと思ったりします。

現在はスーパーなどでアレンジがきいた「ふきゃぎ」が売られておりその中にはあんを入れて甘くしたものもあるそうなので甘いおもちが好きな人向けの「ふきゃぎ」もあるようです。

ちなみにお店では主に「ふちゃぎ」と表記されているのですが私は「ふきゃぎ」としか聞いたことがありません。

私の母親は城辺砂川出身なのでその地区近辺の呼び名かと思われます。

小さな宮古島なのに地区によって呼び名が違ったりするのはよくあることです。
宮古島の中秋の名月グルメ「ふきゃぎ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。